「まあ、不可能ではないだろうな」
「ほんと?」
「ただし、莫大なエネルギーが必要だ」
途方もなさすぎて、具体的な数字は知らない。
「でも、俺は……戻りたいと、思ってる」
非科学的な内心を吐露すると、断言してきた。
「戻れるわ」
「は?」
「時間は、巻き戻せる」
「どうやって?」
「簡単よ。同じ状況を、再現すればいい」
「同じ状況を再現する?」
「ええ、そうすれば、去年と同じでしょ?」
なるほど、それは盲点だった。観点が違うな。
「その為に待ち合わせ場所に来たんでしょ?」
「いや、俺は別に、なんとなく……」
「それなら尚更、運命的な邂逅ね。素敵だわ」
流石は文系。まるで物語のような解釈だった。