男「窓からぁ……? いや、何も足場がないのに入れるわけが……って、なんだこのハシゴ!?」
女「私が家から持ってきたのよ」
男「明らかに、運ぶには不便なレベルの大きさですけど!? 完全に不審者だ!」
女「夕方にも言ったけど、あなたは私にそこまでさせる価値がある人だということよ」
男「……もう、素直に喜べないです。 いや、そんな誇らしげな顔をされても」
女「そうそう、それと一つあなたにお願いしたいことがあったのよ」
男「……なんですか?」
女「その、敬語はやめてもらえないかしら?」
男「敬語……あぁ、敬語ですか」
女「どうも、あなたは無意識に使っているみたいだけど……他人行儀にされるのは、少し悲しいわ」
男「気を付けま……えっと、気を付けるよ」
女「ありがとう」
男「……普通にお礼とかも言えるんだね」
女「それは、私に対する偏見なんじゃないかしら? 私は、最低限の礼儀礼節は弁えているつもりよ」
男「そうみたいだね……少し、安心した」