【※開幕バトル※】給食のおかわりタイム、それは戦場。今日もアツいバトルが始まる・・・

元々プリンは一つだけ余っていた
しかしこれは手が出しにくい獲物だった

2人で争えば50%
4人で争えば25%
8人で争えば12,5%

実りは大きく勝ち目は薄い
ハイリスクハイリターン
まさにパンドラの箱

戦士たちは無茶な戦いはするが
無謀な戦いはしない

そんな彼らの心中を抜き打つかのような一撃

仮に今からじゃんけんに参入した所で
長谷川が教師からの好感も得ている以上は
絶対的不利は否めない

一人が参入すればさせるものかと皆突撃するだろう
必然勝率は下がってしまう
また、それを実行した所で得られる物は長谷川の独占の阻止
あまりに理不尽すぎる

『余っている』プリンを(代わりに)『頂きます』

余りものを処理してあげますよ、と
控えめに演出している所がまた憎らしい

この巧妙すぎるプレーに戦士どもは唯々驚愕した
あるものはまた恐怖した
不利な状況から奇蹟とも呼べる戦術
その雄姿からはかの軍師を彷彿とさせる


お、大食い界の孔明や…

誰かがぽつりとつぶやいた
つぶやきは食卓の閑散へと消えていった

カレーはいつでも食べられる
しかしプリンは食べられない

事実このプリンをこの地区の生徒が食べるのは2ヶ月ぶりだったのだ
優秀な戦士ならば見落とすはずのない事実

なぜこんな単純な事に気が付けなかったと
目の前の欲に溺れ大局を見誤る痛恨のミス

目の前の果実を食してしまい
永遠の安寧を捨て去った

人が人であるが故の失敗
戦士たちは絶望し
彼らは楽園を捨てる

皆が絶望の色に染まるなか
委員長の鈴木は考えていた

今夜の夕飯の献立を考えるよりも
好きなテレビの来週の内容を予想する時よりも

彼は脳を酷使し答えを求める

大脳皮質はぎゅるぎゅると音をたて
脳内シナプスは悲鳴を上げる

構わない

深く、広く、
唯々考える

この状況をひっくり返す一手を

テレビゲーム漬けの脳細胞はコンマ数秒と共に答えを導きだそうとする

思考しろ
思慮しろ
思索しろ

皮肉にもこの時の彼の脳皮質は2時間目の算数テストの時よりも確かに輝いていた事だろう

そして彼は思いつく
全てを無下にする禁断のジョーカー

すっと己が手を挙げる

絶望に暮れ床に四肢を投げ出す戦士たちは
委員長の指先を見つめた

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