【※開幕バトル※】給食のおかわりタイム、それは戦場。今日もアツいバトルが始まる・・・

『こんなのイカサマだっ!!!』

ふと教室中に声が響く
ハッとしてみるとどうやら別のおかずでも揉めているようだ

「これはいかさまだ!!」

ふと横を見る
二人の少年が言い争っている
一人は僕も知らない生徒

そしてもう一人は
市内小学校が生んだ魔境の食戦士
奇術師の笹中だった

「くくっさっき君は言ったじゃないか」

『右のかぼちゃの天ぷらがいいと』

「それは右の方が明らかに大きかったからだ!?」

「だが今は明らかに左の方が大きいねぇ」

「そ、それは…」

「君自身が言った事…発言を取り消すだなんて事しないよね?」

「そんな馬鹿な…なんで…」

クラス替えしたばかりの彼は
突如現れた理解不能な事態に困惑している
それもそのハズだろう
奴の技を見て恐れぬものなどいない

『神を欺く弓矢』〈トリックフェイク〉

右と左のおかずを選ばせた後
教師と生徒の一瞬の目を盗み入れ替える超高等テクニック

これをやられた物は自分から選んだという立場から
その事態を受け入れるしかないという
まさに悪魔的戦術

圧倒的な戦力の前に
彼はなすすべもなく崩れ落ちる

今日もまた一人狩人に騙される子羊が生まれた

神は二物を与えん
だが努力を弛まぬ者に微笑む


そうだここは戦場だ
ならば僕も…

「岡島君!」

「なんだい?」

「今度君の掃除当番を代わらせてくれ!」

「……」

「だめだ」

「頼む…三回分やってもいい…」

君もしつこい人だな

そういって彼は無情にも僕の願いをはねのける
最早僕の敗北は確定的だ

「ほ、ほんとうに駄目かい…?」

「だめに決まってるだろう」

奴のにやにやとした顔が目に映る
奴らは勝利を確信し余韻に浸っているようだ

それを見て僕は絶望しそして

心中でほくそ笑む

馬鹿め
ひっかかったな

「しょうがない僕は諦めるよ」

くるりと僕は振り返る
背中に哀愁を漂わせ
顔には笑みを携えて

突如カレーに執着するのをやめたからか
奴らはいぶかしげな表情を浮かべる

だがもう遅い

「それじゃあ僕は余ってるプリンでも頂こうかなぁ」

「「「っ!?」」」

そうつぶやいた瞬間空気が止まった
何を言ってるんだこのアホはと
周囲の生徒たちはみな理解できないでいる
いや…ひとりだけ理解したようだ

塾通いの村中
やはり奴の偏差値はこの児童集団の中突っ切っているらしい

「………」

僕の発言を理解し一人青ざめる

「お、おいどういう事だ村中!」

「あいつは一体何を言ってるんだ!」

「……したんだ」ボソッ

「何だと!?」

「や、奴は…聞き分けの良い児童を演じたんだ…」

自分のごみ掃除の契約を正当に収束させ
暴食をカレーという二線級な戦場へと追いやり
自分は一歩身を引く事でプリンへの参入権を手に入れ
あまつさえ約束の為その席を暴食に譲ることで
好少年を演じ教師の好感をも得る

一石にして四鳥を穿つ
まさに逆転さよならホームラン

そして戦士たちは
その真の恐ろしさを理解した

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