しばらくニヤニヤが止まらなくて、俺はその場にいたんだけど、
五分ぐらいすると急に憂鬱な気分になった。
理由はふたつ。
ひとつは、俺と会長には接点らしい接点がないってこと。
そう、どう考えても自分から会いに行かないかぎり、
俺と会長が交流することはまずないんだよな。
そして、ふたつめ。こっちのほうがもっと重要だった。
素直に申しわけないと思ったんだよ。
あんないい人の時間を、自分のウソで浪費させたのかと思うとね。
かわいいって、ある種の魔法だと思う。
教室にもどっても、しばらく俺は会長のことを考えさせられた。
そんな俺に先輩からメールがくる。
でも俺はこの時点では返信しなかった。
放課後に直接、先輩に話すことにした。
「やばいっすわ、先輩。あの人はボクにはもったいないですよ」
「その前に結果を教えろよ」
放課後。
俺は先輩の教室で昼休みのことを説明することになった。
一通り話を終えると、先輩は「まあ上出来じゃねえの?」と笑った。