「びっくりですよね」
「だから言ったろ? あの女はB線だって」
冷静に考えたらかなり失礼なこと言われてんだけど、
このときの俺は浮かれていたので「そうっすねえ」と先輩とゲラゲラ笑ってた。
「ところで、肝心の金はどうなったんだよ」
会長のせいで、完全に本来の目的を忘れていた俺。
ケータイからサイトに入って、給料の額を確認する。
思わずシャウトしてしまった。
ディスプレイに表示された数字は、
『4』と『5』。そのあとに『0』が三つ。
しばらく先輩は「ウソすげえ!」とはしゃいでいた。
べつにアンタが金をもらえるわけじゃないんだけどなあ。
ふと俺は、気になったことを先輩にたずねた。
「先輩って、会長さんと知り合ったんですか?」
どうやって昼休みの約束をとりつけたのか、ひそかに気になっていた。
「あの子の友達に頼んだんだよ。会長さんと話したいヤツがいる。
だから暇なときでいいから、話してやってくれって」
先輩は腕時計を確認すると、
「そろそろ学校でないと、バイト間に合わないから行くわ」と机から尻をどかした。
「やっぱりお前は、俺の見こんだオトコだわ」と先輩はうそぶいた。