全生徒の前で話す。
大勢の人間にたいしてウソをつける。
つまり、いっきに金もうけができるかもしれないってわけだ。
「悪くない話だろ? 政治家顔負けのホラをふいてやれよ」
「やばっ。ちょっと楽しそうですね」
俺と先輩は顔を見合わせてニヤニヤした。
で、単純な俺は体育館の壇上に立つことになる。
どうでもいいけど、担任のアオヤマには感謝された。
クラスの連中からは、メチャクチャからかわれたけど、気にしないことにした。
ついでに先に結果を書いておく。
俺は当選してしまう。先輩のちいさな策略によって。
後期生徒会役員選挙の当日。
簡単な予行演習を終えて、本番。
予行演習には会長がいなくて、すこしガッカリした。
壇上から大勢の生徒を見ると、さすがに緊張せずにはいられなかった。
しかも俺はトップバッター。
進行役の生徒がしゃべりだして、しばらくして俺の名前が呼ばれた。
椅子から立ち上がって、マイクの前に立つ。
深呼吸をしてから、俺は口をひらいた。
「今回、後期生徒会……」
すぐに俺は気がついた。マイクが反応していないことに。