話しはじめて気づいたんだけど、会長って聞き上手なんだよな。
相槌のうちかたとか、質問のタイミングとかが絶妙なんだよ。
なにより俺の話を聞いてくれる表情が、コロコロ変わって楽しかった。
だからかな。
思わず本当のことを言いかけた。
「物語」って口から出てきてしまった。
「物語?」と会長が首をかしげる。
俺は急いで言葉をつけ足した。
「物語を読むのが好きなんです」
「読書好きってこと?」と会長が身を乗り出してきた。
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読書好きかと言われると、ちょっとちがうような気がする。
たしかに本を読むのはきらいじゃない。
でも、読んだことがある本はそんなに多くない。
俺のまわりってアホなヤツが多いわけだ。俺もふくめて。
だから本とか読んでると、まわりの連中が言ってくるわけだ。
「本とか読んでるとバカになるぞ」
「カッコつけてんじゃねえっつーの」
「文字書く暇があるなら、汗かけ!」
最後のセリフは、休み時間に本を読んでた俺にクロダが言ったこと。
それは俺じゃなくて、書いてるヤツに言え。
