おっさんがニコやかに話せば話すほど、俺の表情はけわしくなってたね。
「ボク、頭悪いんで……ちょっと今の説明だとよくわかんないです」
おっさんは目を丸くした。
ちょっと西田敏行に似てるなって思った。
「むずかしく考えなくていいんだよ。僕が言ったとおりのことをする。
それだけで、キミはお金をもらえるんだよ」
「あー、じゃあたとえば。
ボクが実はゲイだとか、そういうテキトーなウソをつくだけでいいってことですか?」
「まあ、ようはそういうことだね」
なんだそれ。そう思った。も
ちろん口には出さなかったけど。
ただ、さすがにこの説明じゃあ、おっさんも足りないと思ったんだろうな。
そのあと、詳しい説明をつけたした。
おっさんの言ったことをまとめると、こんな感じになる。
・人をだますと金がもらえる。
・ただし、きちんと相手をだまさなければならない。
・だましの質によって、もらえる額が変動する。
そのほかの情報。
・ケータイ登録が必須で、バイト代はこの会社のサイトで常に確認できる。
・基本的にこのバイトは十代しかやらせてもらえない。
・やめても、再度、お誘いのメールが来る場合がある。