「あれは時間をうばわれてんだよ」
「映画に限定しなくてもいい」
「好きなヤツといる時間が、異様に早く感じたりするのも同じ」
「価値や魅力のあるものは、どんどん人から時間を吸い取るんだ」
わかるような、わからないような理屈だった。
まあ先輩は、人をその気にさせる天才なので、
思いついたことをその場で言っただけかもしれない。
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「ついでに言うと、そういうのは麻薬といっしょで危険でもある」
「変な勘違いを生み出すからな」
「今お前が話に出したヤツが、いい例だ」
「価値のあるもんに触れると、自分にまで価値があるって錯覚するんだよな」
「たとえば、なにかを批判するときに、例としてべつのものを出すことがあるだろ?」
「あれってなんでだと思う?」
先輩の質問に、俺は「わからない」と答えた。
ていうか明らかに話が脱線している。
