「器がちいせえな、お前」と話を聴き終えると、ニヤニヤしだす先輩。
「自分でもそう思います。でも、なんか……」
「そんなクソ野郎のことなんて、気にすんなよ」
「ボクもそう思うんですけど、ムカつくんですよね」
「むずかしいもん読んでたらえらいのかっつーの」と俺は続けた。
「いや、そんなことねえよ」と先輩は否定する。
「その本を書いたヤツには間違いなく価値がある。
でもそれを読んだヤツには、なんの価値もねえよ」
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「そいつはその本に時間をうばわれただけなんだよ」
先輩の言葉が、俺には理解できなかった。
「ドラマだろうが映画だろうが人間だろうが漫画だろうが、
魅力のあるもんは時間をうばうんだよ」
「どういうことですか?」
「すげえ面白い映画とかあるだろ?」
先輩は続ける。
「ああいうのって、見てるとあっという間に時間がたつじゃん」
