先輩は気づいていない。
俺は無意識にそのメールを開いていた。
メールの内容は例のバイトを再開しないか、というものだった。
「どうしたんだよ」って先輩の言葉が妙にぼやけて聞こえたね。
頭の中がごちゃごちゃになってて、反射的に先輩にケータイを見せた。
「これ、どういうことですか?」
さすがに先輩の表情が変わった。
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「どういうことなんすか?」
「いや、それは……」と先輩が目をそらす。
頭の悪い俺だけど、今日までにだいたいの流れは予測できていた。
「先輩と会長は、もとから知り合いだったってことですよね?」
「そうだ。そうだけど、それには事情が……」
心臓がすごいバクバク鳴ってた。
それなのに頭の中は妙に冷えきってたんだよ。
先輩は口がうまい。ごまかされるかもしれない。
そう思った俺は、先輩を呼び出しておいてその場をあとにした。
やっぱり冷静な状態ではなかったね。
