幼馴染「…………」
男「今なら、言える気がするんだ。なんにも迷う必要なんてないって分かったから……だから、」
ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ
男「!」
男「な、ナースコールっ! オイ、おじさん、おばさん! 起きて! 幼馴染が……ッ!」
男「頼む、頼む、死ぬな。死なないでくれよ、頼むから」
脈拍が――電気ショックを――先生、血圧が――処置のしようが――
男「オイ、勝手に死ぬな。散々俺のこと無視して、チョコだけ食いやがって、感想もよこさずに、死ぬんじゃねえよ」
そんな――先生、どうにか――我々もできるかぎりのことは――もう見守ることしか――
男「死ぬな……起きろ……神様、ああ、神様。頼む、俺が死んでもいいから……こいつを……誰か……助けてください……」
ピ――――――――――――
男「 、」
男「 あ 」
男「…………」
男「…………」
幼馴染「」
男「静かだな、ここ」
男「遺体安置室、か……」
男「…………」パサッ
男「死んでるんだな、こんな、いつもどおりなのに。ああ、顔色ちょっと悪いか」
男「…………」
男「……いつもお前ばっかり見てたんだ」
男「髪を切るたびにドキドキしてた」
男「病気のことはずっと前から知ってたのに……わざと、考えてなかったのかもな」
男「幼稚園のころからずっと一緒だったよな」
男「お前がいつか、元気になれるように、病気のことなんか気にしなくて済むようにって」
男「医者になろうとして、必死こいて勉強して」
男「結局俺、何をするにも、理由にお前がいたんだ」
男「これからは……どうなるんだろうな」
男「お前が好きなんだ」