柴犬は俺を見た瞬間、メッチャきゃんきゃん鳴き出した。
俺、ビビる。
で『こいつら死なせたくない!』って思って
「お、お前ら逃げろ!やられちゃう!」
ってなんか適当な方角指差した。
熊、それに反応して三頭とも小走りで森の中に消えていった。
柴犬は熊が去った後もぎゃんぎゃん鳴いて、
「俺は違う俺は熊じゃないから!ご主人どこよ?ねえ!連れてって!」
とか熊と同じように人間語で語りかけた。
するともう一頭柴犬が現れて
まーた人を見るなりぎゃんぎゃん鳴き出して犬の大合唱が耳にうるさかった。
俺「うるよいよ、静かに、ご主人どこ」
おっさん「うえあああああああらあああああああ」
俺「!?!?!?!?」
おっさん「生きてたかあああ!!よおおおおおお見つけたなあああああコロォオオオオオ」
結果的に、犬は別にまたぎの犬ではなく、
おっさんが俺の捜索の為に放った別に狩猟犬ですらないただの飼い犬だった。
そっからおっさんと一緒にフラフラなりながら婆ちゃん家に帰還した。
婆ちゃんと対面した瞬間に
「うおえああああああなあああ婆ちゃあああああああん」
とか恥ずかしながら大泣きしてしまった。
婆ちゃんも
「良かったよおおおお」
とか力いっぱい抱きしめてくれた。
その夜に婆ちゃんに遭難してる時にこんな体験があってグスングスンとか
涙ながらに熊に助けられたら話をした。
どうせみんな信じてくれないだろうなあーって思って話したら婆ちゃんからまさかの一言。
婆ちゃん「それ山本さん家の熊だわあ」
俺「……え?」