女「・・・・ごっ・・・ごめんなさい・・・その・・・足とは関係無いの。たぶん急に立ち上がったから」
男「あ・・・ああ。だ、大丈夫だな」
女「う・・うん」
彼女は大丈夫だと言った。
だが、彼女の控え目すぎる体重は、オレに預けたままだった。
男「・・・座るか?」
女「嫌・・・大丈夫。軽い貧血だからもう少し待って・・そうすれば歩けるから」
男「あ、ああ」
しばらく二人とも無言で水槽を見つめていた。
正確には、水槽に映ったお互いを見つめていた。
・・・
女「大丈夫・・・その、もう大丈夫だから」
男「お・・・おう」
すっ
女「このコーナー出るまでは、歩いてもいい?」
男「・・お前が大丈夫だと思うなら、そうすればいいだろ」
女「うん、ありがとう」
クラゲコーナーを出た後、オレたちは無言になった。
イルカ・アシカショーの声が遠くに聞こえる。
室内の水槽は依然として空いていた。
4つのコーナーを無言で見た後、彼女がぽつりと言った。
女「・・・ごめんなさい」
男「・・・いや、謝ることない」
女「私のわがままで、あなたに迷惑をかけました」
男「別に迷惑じゃねーよ」
女「あなたがいなければ、倒れていました」
男「・・・そのためにオレがついてきてるんだろーが」
女「・・・」
男「・・・あのさ」
女「はい」
男「オレ・・・お前の事尊敬するわ」
女「え?」