女「・・・・条件があります」
男「・・・なんだ?」
女「学校では、今まで通りの関係でいてください」
男「・・・・・なんで?」
女「他の誰かが、あなたを好きになれるように」
男「・・そんな事起きねーよ。それにそうなってもオレは、」
女「私より、他の誰かと結ばれたほうが・・・絶対に幸せです」
男「そんな事無いって思うから、告白したんだよ」
女「・・・私たちのことは、私たちだけの秘密。これが守れないなら・・・ダメです」
男「・・・わかった。でも、そもそもお前は・・・その・・いいのか、オレで」
女「私は・・・あなたの、物事に対して全力で挑まないところが嫌いです」
男「・・・」
女「でも、それ以外は・・・全部好きです」
男「・・・え」
女「私は・・・今までうまく立ち上がれないことを不自由に感じたことはありませんでした」
女「でも、今は、すごく悔しいです。立ち上がってあなたに抱き付くことができないのが」
女「お願いです、私を」
彼女の言葉は途中だったが、オレは言葉を遮り、ぽろぽろと涙を流す彼女の背中に手を回した。
オレの大切な人が痛くないように慎重に抱き上げ、優しく抱きしめた。
女「ごめんなさい・・・ありがとう」
***
***
女「あなたは・・とても優しい人なんですね」
男「・・・」
男「そんな事ないです」
女「でも、あなたは、その人のことをいつも考えているじゃないですか」
男「考えているつもりでした・・・でも実際は、何も分かってなかったんです」
女「そうなんですか?」
男「オレが彼女の事、何も分かってなかったから、結局別れることになっちゃたんです」
女「・・・そうなんですか」
男「・・・今でも後悔してるんです。なんであの時別れてしまったんだろうって」
女「・・・」
少し喉が渇いた気がした。
鞄からミネラルウォーターのペットボトルをとりだし、口を濡らした。
ふと気が付くと、41講義室の窓から見えていた空には闇の帳が下り始めていた。
外は相変わらず騒がしかった。
少し妙だなと思ったが、オレはオレの思い出の続きを話すために、再び口を開いた。