**
女「おいしかったね」
男「ん」
女「・・・じゃあ帰ろっか」
男「そうだな」
女「うん」
男「・・来年も、一緒にどっか行こうな」
女「うん・・・あ、ダメよ。来年は受験でしょ」
男「そうだけど・・・クリスマスくらいいいんじゃねーの?」
女「それはあなたの勉強進み具合で決めます」
男「はは・・・お前らしいわ」
女「もう、男君のためを思って言ってるのよ」
男「はいはい・・・・あー」
女「?」
男「・・・これ」
女「え・・これ・・何?」
男「えっと・・クリスマスプレゼント?」
女「・・・もらっていいの?」
男「・・むしろ貰ってくれないと困る。突っ返されたらどうすりゃいいんだ」
女「うん・・開けていい?」
男「ん」
がさがさ
女「・・・これ」
男「あー・・ただのペンダントだよ。その・・指輪にしようかと思ったけど、よく考えたらお前の指のサイズ知らねーし・・」
女「・・ありがとう。つけていい?」
男「ん。つけてやる」
すっ
女「あっ・・ありがとう//」
かち
男「・・・」
女「に・・似合ってる?」
男「い・・いいんじゃねーの?」
女「うん・・ありがとう」
女「ごめんなさい、私、男君にあげるプレゼント用意してない。今までクリスマスに誰かにプレゼントしたことなんて無かったから・・」
男「いーよ。オレは・・・その・・あれだ。今日お前と・・・その、こうやって一緒に過ごせたからそれでいい」
女「でっ・・・でも」
男「じゃあ、高校卒業して、お前がオレと一緒にいるの、誰にでも言えるようになったら、その時に・・・その・・・指輪とか作らないか?」
女「!」
女「・・・//」
女「・・・考えておきます//」
男「お、おう」
彼女は少し恥ずかしそうに、ずっと目線を落としていた。
オレは、彼女の乗り物が揺れないように慎重に道路を見ながら、彼女の横顔を何度も盗み見た。
彼女はそんなオレの目線に気付いたのか、振り返りこちらに目線を向けた。
目が合って、お互いの顔が赤いのを確認すると、二人はあからさまに目線を逸らした。
彼女は胸元のペンダントを少し触りながら、自分の指先を見ていた。
オレは危なくないようにスピード・ダウンしながら、空を見上げた。
月の明かりと街の明かりが、空の星を覆い隠していた。
さっき見た偽物の星空の方が、よほど美しかったと思った。
彼女の家に着くまで、お互い一言もしゃべれなかったのに、別れ際の“おやすみなさい”はとてももどかしく感じた。