手紙を書き終えた僕たちは しんのすけが用意した缶に手紙を入れて、土のなかに埋めた。
みんな名残惜しそうに公園に残っていたが、やかてそれぞれ家路につく。
「それじゃ みんな元気で!」
と笑っててをふったしんのすけに「明日も会えるだろ!」とわらって別れた。
9月1日
今日からまた学校だ。夏休みを終えた僕ら受験生は更に勉強が忙しくなる。
僕の目指す大学は一応合格圏内ではあるが油断は禁物だ。
いつもの時間に家をでて、いつものペースで歩いてたはずだった。
だけど、学校が近づいてきてもしんのすけはあらわれない。
どうしたんだろうと後ろを振り返ると、ひまわりちゃんが走ってくるのが見えた。
「おはよー風間さん」
「おはよー。ねえ、しんのすけは?」
そう問うとひまわりちゃんはキョトンとした顔をして僕の顔をみた。
「しんのすけ?友達ですか?私、そんな人知りませんよー」
冗談を言ってるのだろうと思った。それともけんかでもしたのかと。
「ひまわりちゃんのおにいちゃんだろ?」
「なにいってんですか?私におにいちゃんいないの知ってるくせに。私は一人っ子ですよーだ。昨日、帰り遅かったから寝ぼけてるの?」
ひまわりちゃんはなにを言っているのだろうか。
それともひどい喧嘩でもしたんだろうか?
教室のドアを開け、自分の席へ向かう。
ネネちゃん、ボーちゃんはいたがしんのすけの机はぽっかりと空いていた。
「あっ、風間くんおはよー♪」
「おはよ。」
「おはよー。ねぇしんのすけは?」
「しんのすけ?誰それ、別のクラスの子?」
「えっ?なにいってんの?しんのすけだよ。野原しんのすけ!ひまわりちゃんといい、ネネちゃんといい、しんのすけと喧嘩でもしたの?」
「だから、そんな人知らないわよ!風間くん夏休みボケ?」
僕は混乱した。なぜみんなしんのすけのこと知らないというのだろう。
「しんのすけだよ?昨日も一緒に過ごしたじゃないか」
「なにいってんの?昨日は私とボーちゃんとマサオにひまちゃんの五人だけだったでしょ」
「そのとーりっ」
みんななにをいっているのだろう。僕には訳がわからない。
「ネネちゃんの彼氏だよ?僕らの幼馴染みの……」
「私に彼氏なんていないわよっ」
埒があかないと思った僕は携帯を取りだし、しんのすけに電話をしようと思った。
だが、電話帳をいくら探してもしんのすけの名前は出てこない。
「なんで……」