しんのすけとは幼稚園の頃からの幼馴染みだ。
幼少の頃のしんのすけは、いがくり頭のお調子者で、みんなの人気者だった。
成長した彼はいつのまにか僕の身長を追い越した。
いがくり頭だった髪は、今は伸ばしてやや茶色に染めている。
坊主だった頃には気づかなかったが、両親とも天然パーマだった彼もまた、
ふわりとした天然パーマでそれをお洒落にセットしていた。
トレードマークだった太い眉毛も整えられており、小さい頃の面影はあまりないような気がする。
それでもふとみせる表情や仕草は幼い頃と変わっていない。
照れたときにみせる、あの独特な笑いかたを見ると、ホッと安心させられる。
「明日から夏休みだなぁ。高校生活最後の夏休みだ」
しんのすけは晴れた空をみながらそう言った。
その言い方がなんだか少し寂しげに聞こえた気がした。
「そうだな」
僕も一緒に空を見上げる。
僕たちはいつも一緒にいた。幼稚園の頃からずっと一緒に過ごしてきた。
ボーちゃん、ネネちゃん、マサオくん、そしてしんのすけと僕の五人は小学校、中学校も一緒たった。
しんのすけは、さほど勉強は好きではなかったけど、
なにか、例えば、成績が10位以内に入れば欲しいものを買ってあげる…とかいう親の約束があった場合は、
担任や僕らが驚くくらいの点数で成績ドップになることもしばしばあった。
しんのすけは、この五人でいることが好きだったようだ。
もちろん僕もそう思っていたし、他のみんなだってそう思っていたに違いない。
しんのすけの、僕と同じ高校に行きたいという強い思いが他のみんなを奮い起たせ、高校受験にむけ勉強に励んだ。
結果、マサオくん以外の四人は同じ高校に通えることとなった。
ちなみにマサオくんはレベルをいくらか落とした高校に入学することができた。
マサオくんとの交流は今でも続いている。
「最後の……最後の夏休みなんだなぁ……。いっぱい思いでつくろうな」
「なんだよ、しんのすけ改まって…。でも、そうだな。夏休みが終わったら、みんな大学受験にむけて忙しくなって、遊ぶどころじゃなくなるもんなー」
そう、高校を卒業したら、みんな大学へ行き、そして社会にでる。