本当にたくさんのことをした。
僕ら五人とひまわりちゃんは常に一緒だった。
一つ一つの出来事がカメラのシャッターを押すように僕らのなかに思い出として刻まれていく。
みんなで喋り、みんなではしゃぎ、みんなで笑いあったあの夏休み。
みんなで夏祭りに行ったことがあった。
その祭りで開設された『本格幽霊やしき』に入ることになった。
二人一組ではいるため、自然にしんのすけとネネちゃん、僕とひまわりちゃん、マサオくんとボーちゃんのペアになった。
祭りで開設されるような幽霊やしきだからそんなに怖くないだろうと思っていたが予想を越える怖さだった。
だけど暗闇で怖がっているひまわりちゃんの手を握っていたらこの子を守らなくてはという思いが込み上げてきた。
ネネちゃんはキャーキャーと叫びながらしんのすけに抱きついていた。
マサオくんはあまりの怖さに固まってしまい、後ろからきた別の客に蹴り倒されていた。
やっぱりマサオくんはバカなのだ。
祭りのあと花火大会を川辺で見ようとみんなで歩いた。
なんとなくひまわりちゃんと僕は手を繋いだままだった。
しんのすけの腕にネネちゃんは腕を絡ませている。
途中、僕としんのすけの目があったが、しんのすけは口元でにやっと笑っただけだった。
「花火、きれいだなー」
川辺に腰かけてしんのすけがそう呟いた。隣に座っていたネネちゃんが頷く。
「パッと咲いてサーっと散ってく。一瞬なのにいつまでも心に残ってる。いいなぁ花火は……」
まもなく花火大会のクライマックスなのだろう。ドンドンドンと怒ったように打ち上げられる花火は
『私のことを忘れないで』と訴えているようだ。
ふと視界の隅でしんのすけとネネちゃんがキスをしているのがめにはいった。
二人は唇を外すと顔を見合わせて微笑んだ。しんのすけはネネちゃんの肩を抱くと空を見上げて夏を彩る花火をみた。
「おにいちゃん、やるわねー」
ひまわりちゃんが僕の耳元でそう言った。
僕たちはずっと手を握っている。、
「ねえ、風間さん、キス……したことある?」
「えっ!したことないよ!しんのすけとしか!…あっでもあれは僕のファーストキスじゃ……」
言い終わらないうちに突然僕の唇に温かくて柔らかいものが重なった。