まだタバコが吸い足りないのかなと、自嘲気に笑う。
20年って。そんなに長い間こんな場所に…
「確かバイク事故だったかな…
ガードレールに突っ込んだ気がする」
「ああ、足が届かないからか」
「うっせ、死ねっ!」
重い空気になりかけていたので
なんとなくおちゃらけてみたが
花子さんには気づかれてしまった。
「可哀想とか思うなよ。私はこの生活のままでいいんだ
おまえはあいつの事だけ考えろ」
大きなお世話だと、心を見透かされたように言われた。
確かに少し心揺らいだが、今はメリーさんの事だけを
考える事にした。
掃除終了のチャイムが鳴る。
気がつかなかったが結構な間話し込んでいたようだ。
それじゃあと言い、教室に戻る。
花子さんに色々とありがとうと言いたかったが
面と向かって言うのは癪なので
帰り際、ドアを閉めるときに言ってやった。
花子さんの顔は見なかったが今思うとどんな顔を
していたか興味があったがもう遅い。
さて、色々と情報は得た。
今度差し入れでも持ってくることにしよう。
そう心に決め、僕はトイレを後にした。