それからはいつも通り3人で、
休み時間や昼休みは雑談して過ごしていた。
テストが終わったあとからか、
クラスの男子が変人と仲良くなっていた。
たくと変人が遠い人になっていくねと話していたけど、
そんなことはなく逆にクラスの男子を連れてきて
「一緒にご飯、食べよう、その方がいい」
とニコニコしながらサンドイッチを食べていた。
俺は他の人と話すのは久しぶりだったからか、
緊張しながらも、皆でお弁当を食べた。
たくも俺の隣でお弁当を広げていた。
変人にいつのまに仲良くなったんだ?と聞くと
「さっき話しかけてくれた」
とサンドイッチを食べながら説明してくれた。
他の人達と仲良くなれない俺とたくに
気を使ってくれたのかなと思い、少し嬉しくなった。
他の男子は楽しそうに変人と話していて、
なんだか輪が広がった気がして、充実した気持ちになった。
それからは他の男子も交えて、
お昼ご飯を食べたり勉強をしたりして、
少しずつだけど俺もたくも皆と仲良くなっていた。
その頃から少しずつ変人は、
学校を休むことが増えていった。
1週間ぶりに変人が学校に来たと思ったら、
目の下にクマを作り、生気の無い顔で席に座っていた。
俺は気になり理由を聞いてみることにした。
俺「どうしたの?バイト忙しいとか?」
変人「ううん、バイトはもうやめたんだ
あんまり気にしないで、大したことないから」
俺「そうだったんだ、まぁあんまり無理するなよ」
変人「うん、ありがとう、心配かけさせてごめんね」
そう言って机に突っ伏していた。
その日はそれ以上話すことなく終わった。
たくも他の男子も心配しているみたいだったけど、
次の日にはまたいつもも通りの変人だったから、
皆心配したんだぞーなんて笑いながら話していた。
それから変人は1週間に1度学校を休むくらいで、
学校に来た時にはニコニコしながら皆と接していた。
先生も心配していたのか、
何度か放課後に変人と面談をしていたみたいだけど、
休んだ理由は不明で、俺とたくにも何か知らないかと聞かれたが、
理由は全く分からずに、先生もお手上げ状態だと言っていた。
変人が学校に来た日には、
皆久しぶりと声をかけていて、
「サボるな」なんて言う奴は一人もいなかった。
それから変人が学校に来る頻度は減っていった。
1週間に1度くればいい方で、殆どは2週間に1度しか来なくなっていった。
クラスの皆も、
変人が学校に来なくなっていることに、
違和感を感じていたのか、変人を心配する人も出てきていた。
学年で一番頭が良かった変人が
だんだんと不登校になっていったことに、
殆どの先生達もクラスメイトも不思議に思っていたと思う。
それでも変人が学校に来る日は、
男女皆久しぶりと、変人が来たことに喜んでいた。
先生から聞いた話によると、
変人はいじめられているわけでも無く、
家庭の事情というわけでも無いとのことだった。