113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/12/17(月) 23:50:12 ID:67Zm6FYY
女「っとと、そろそろ映画館行きましょうか」
男「時間か……うん、行こう」
女「この映画の原作、私も読み返したんです」
男「やっぱ王道ファンタジーって感じだよね」
女「そう! そうなんです! あのワクワクドキドキが堪らないですよねっ」
男「今日見るのは……字幕? 吹き替え?」
女「字幕ですね、英語はあまり分かりませんが雰囲気で伝わってくるものがありますから」
男「吹き替えもいいけど、どうしても解釈の違いが出るからね」
114: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:02:27 ID:hy.NyNeA
男「ポップコーンのL一つとアイスティーで……」
男「女さんは?」
女「私もアイスティーで」
男「ごめんね、ポップコーン一緒で」
女「いえいえ、そんなこと気にしませんよ」
男「しっかし高いなぁ、いろいろ」
女「ワクワクを買っていると思えば、納得できます」
男「そうだね……定番だしね」
115: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:05:47 ID:hy.NyNeA
上映中です、ごゆっくりお楽しみください
116: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:31:30 ID:hy.NyNeA
女「あー、面白かったぁ」
男「弩迫力な映画館ならではの興奮だったね」
女「まぁ……あのシーンカットされてたのは、残念です……地味に好きだったんですが」
男「そこは、まぁ仕方ないからね」
女「あっ、私ちょっとお手洗い行ってきます」
男「うん、先に外出てるね」
117: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:40:10 ID:hy.NyNeA
幼(お買いものに来たけど……)
幼「…………はぁ」
幼(なんかつまんないなぁ)
幼「……男と一緒にこられたならよかったのに」
幼「……あぁ…………男、か」
118: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:45:38 ID:hy.NyNeA
幼「…………」
幼(景色が……くすんで見えちゃうなぁ)
幼(昔は……)
幼(男とお買い物して……)
幼(……お昼一緒に食べたり)
幼(映画……そうだ、ここの映画館で映画見たりしたのに)
幼「……楽しかったなぁ」
119: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:50:46 ID:hy.NyNeA
幼「最近映画なにやってたっけ……」
幼「…………」
幼「…………っ!?」ドクン
男「 」
幼「…………ぁ」
幼(男だ……あぁぁぁ……)
120: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 00:55:59 ID:hy.NyNeA
幼(何で……なんで男が……)
幼(……まだ、気付いてない…………)
幼(今なら……いま、話せば……)
幼「……っ、ぅ」
幼(でも、また避けられたら?)ビク
幼(……いやだよ)
幼(怖いよ……もう、私には……)
122: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 01:01:57 ID:hy.NyNeA
幼「…………でも」
幼(今しか……もう、機会は……)
女「男君! お待たせしました!」
男「あ、きたきた」
幼「…………え」
123: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 01:05:42 ID:hy.NyNeA
幼「…………誰」
ドサッ
男「ん? ……っ!?」
女「どうしたんですか?」
男「幼、馴染…………」ズグン
幼「…………」
幼「…………ぃや」フルフル
幼「…………っ」ダッ
男「幼馴染っ!」
124: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 01:09:51 ID:hy.NyNeA
幼「…………う、あぁぁ」ジワ
幼(だって、あの子って……)
幼(そういうことなんだよね……)
幼「男っ……おとこっ……」ポロポロ
幼(私のことは……)
幼(わたしなんてもう……)
幼「うぁぁぁ……っ、ぐぅぅ……」ポロポロ
125: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 01:14:16 ID:hy.NyNeA
男「はぁ……はぁ……」タッタッタ
男「……く、ぅっ……はぁはぁ……」
男(いない……)
男(見失った……)
男「……幼馴染」
男(今にも泣きそうで……)
男(壊れてしまいそうで、崩れてしまいそうで……)
男「……どうしたんだよ」
男「何で……あんな顔してたんだよ」
男(…………関わらないって決めた、けど)
男「…………くっ」ギュゥ
126: ◆u5n33kjMKs 2012/12/18(火) 01:18:22 ID:hy.NyNeA
女「……男君」
女「さっきの人は……誰なんだろう」
女「二人とも、苦しそうな辛そうな顔で……」
女(それに…………)
女(二人の間に)
女(強くて、固い……絆? みたいなものを感じた……)
女「……私だけ、別だった」
女「男君……」