Sが昔山に行ったときついて来た幽霊『カケル』くんが居る。
長くなるから詳しいとこは省くね。
んで、S家までついて来て、普通にみんなカケル君を認めて暮らしてるそうだ。
あるとき、S弟が泣きながら家に帰って来た。
「どうしたの!」Sが尋ねるが、犬に追いかけられただけだと言う。
でもカバンの中に入っていた筆箱がボロボロだから、おかしい事に気付いた。
次の日、カケル君に「今日、S弟についていってみてくれない?」と頼んで見る。
昼休みのカケル君の報告によると、S弟はどうやらいじめられているらしい。
Sは弟と同じ学校だったから、クラスを覗きに行ったんだって。
教室からすごい音が聞こえて来た。
弟の机は投げ捨てられ、鞄で殴られている。
もうクラス全体が、そう言う雰囲気に慣れてるみたいだった。
「……」言葉も出ずにSは震えた。
何も出来ずにいったん家に帰って母に報告。
黙認してた教師は左遷され、主犯格の少年の家に怒鳴り込んだらしい。
でもやっぱり子供だから、少年はいじめをやめない。
カケル君はSにかなりなついてるみたいで、Sが嫌な気分になるような事を誰かがすると、
本当にその場の雰囲気が凍りつくというか、カケル君が怒るんだ。
で、暫くS弟についてたから弟にも懐いて、虐めてた少年が遊具から落ちて大怪我をしたり、
雰囲気に耐えられなくなる子どもが出てきた。
根本的な解決にはなってなくて、弟は転校してしまう。
Sの方からカケル君になんとか理解してもらい、今はそんな事ない見たいだけど、
機嫌が悪くなってものを壊す事はあるらしい。
——以下、Aの旅行の話——