俺 「…。」
女性「その日は、仕事で先輩に理不尽な怒られ方して、イライラしてたので…飲んじゃいました。」
俺 「なるほど…。」
女性「あとは……あんな感じです。」
俺 「色々大変でしたね。」
女性「いえ、本当にご迷惑おかけしました。」ペコッ
俺 「あぁ、もう謝んなくていいですから」オタオタ
女性は思っていた以上にお喋り好きだった。
俺も会話をしていて楽しかったのだが
どうしても払拭して起きた事があった。
女性の態度からして大丈夫だと思いつつもハッキリさせておきたい事が。
俺 「というか、すみませんでした。」
女性「??」
俺 「その…身体ベタベタ触ってすみませんでした。」
女性「え?」
(軽く愚痴の篭った私事です…)
俺は過去に、駅のホームで並んでいる時に「お尻を触られた!」と前の女に叫ばれ、警察に突き出された事がある。
当時、俺は就職したばかりだった。
慣れないスーツに身を包んで会社へ向かう際に痴漢呼ばわりされたのだ。
完全に冤罪だった。でも証拠が何もなかった。
結果から言うと俺は幸い逮捕はされずに済んだ。
ホームの監視カメラに俺と女が映っていたらしく、
俺が女の尻を触っていないのが映像で確認出来たとの事だった。
しかし、警察に取調べを受けている時間は正直、生きた心地がしなかった。
それからというもの、俺は電車を使わずに出勤する手段を考えた。
ただ、仕事を始めたばかりの平社員には金銭面で無理をする余裕なんてなかった。
電車出勤はやむを得なかったので、出勤時間早めにずらし、
駅のホームでは最前列か男性の前にしか並ばないようにし、
電車内では両手を手すりに置くか、座って手を組んだりスマホを扱うよう心がけた。