女性「えっと、○×って会社です」
俺 「ぁ、知ってる」
何が『あまり有名じゃない』だ。
ゲーム好きならそれなりに知れてる会社だった。
女性「ご存知でしたか?」
俺 「はい。でもすみません。そこのゲームはやった事ないです。」
女性「あらら…。」
俺 「すみません……。」
ちょっと気まずくなってしまった。
この空気は嫌なので話題を変えようと思った時
女性「…そ、それよりこの前の事なんですけど。」
俺 「え?」
女性「その…会えてよかったです。本当にありがとうございました。ずっとお礼言いたくて」
俺 「あ…いや、別に…。」
ドキッとした……。心臓がドクンってするのがわかった。
「会えてよかった」とか女性に言われるのは初めてだったから。
女性「あの日、友達との飲み会の帰りでして」
女性は淡々とゲロッた日の事を話し始めた。
きっと気にしているのだろうと思い、あえてあの日の話題は避けていたのだが、
まさか向こうから話を振ってくるとは
俺 「飲むのは弱い方なんですか?」
女性「はい。なのであまり飲みません。」
俺 「あんまり飲まないタイプなのに、飲まされちゃった感じですか。」
女性「久しぶりに会った友達と居酒屋に行って…、少ししか飲まないつもりだったんですけど…」
俺 「…隣に居ただけでも匂い凄かったですよ。」
女性「はい。私、飲めないわけじゃないんです。飲むとすぐ頭が痛くなるから飲まないだけで。あまり悪酔いしたりもしませんし。」
俺 「あぁ・・・そういう事ですか。」
女性「ただ、あの日は…。」
俺 「飲んだと。」
女性「はい…。ガブガブ飲んでました。」
俺 「ガブガブってw」
女性「嫌いなわけじゃないんです。でも、しばらくすると頭が凄く痛くなってきて、後悔するんですよね…。」
俺 「あらら、それはまた難儀な体質ですね…」
女性「はい…。」
俺 「で、その帰りだったわけですね。」
女性「えぇ。店を出た時点で既に頭は痛かったんですけど、改札口を通った辺りで吐き気までしてきて…」