美人とか可愛いとかいうタイプの顔ではなかったが、おっとりした優しげのある顔だった。
なんだかんだで、あの日は最初から最後まで女性の顔はほとんど見えなかったからなぁ…。
俺 「い、いいえ…俺なんもしてないですよ。」
女性「そんな事ないです。本当に助かりました。」
元々女性と話すのは得意でもなく、職場も年配のおばさん以外に若い女性は居ないので
俺は少し緊張していた。
丁度その頃、待っていた電車がホームに入ってきた為
俺と女性は電車の中に乗り込んだ。
空席はたくさんあったが、なんとなく扉横の隅にある手すりに?まり立っている事に決めた。
すると女性も俺に添う形で近くの取っ手に捕まって俺に喋り始めた。
女性「いつもこんな時間まで残業とかされてるんですか?」
俺 「あ、はい。最近はほぼ毎日ですね…。 えっと…、」
女性「はいw 私も残業です…w でもまぁ今日はたまたま、というか。」
俺 「あぁ、そうなんですか。お仕事、何されてるんですか?」
女性「っと…。その。ゲームを作ってます。」
俺 「ゲーム?」
ゲームという言葉に思わず反応してしまった。
俺はけっこうゲーム好きである。
女性「はい。ソフトを作ってる会社で働いてます。」
俺 「おー、凄いっすね。俺もゲームやりますよ。」
女性「本当ですか?!普段どんなのやってらっしゃるんですか?」
俺 「…オンラインゲームとかよくやってますね…。」
女性「お~・・・。」
・・・。
どうやら女性が期待していた答えではなかったらしい。
俺 「どんなゲームを作ってらっしゃるんですか?」
女性「…うーん。最近は対戦系のゲームを…。あまり有名な会社ではないので、知らないと思いますけど。」
俺 「なんて名前の会社です?」
興味津々の俺。