親戚や近所の人は妹の頭がおかしくなったと思っていたようです。
そういえば、妹は昔からちょっと変わっていると
周りから言われるようなタイプではありました。
だからといって葬儀の時にこんな態度になるのか?と思ったのだが・・・
それでも妹は気にすることなく、
葬儀の間ずっと笑顔で過ごしていました。
火葬も終わり、父の遺骨が家に帰ってきた日、
夕飯を食べ終わってから、
妹と伯父(父の兄)がたばこを外で吸っている時にこんな会話をしており、
それが俺の部屋に聞こえてきた。
「おじちゃん、あのね。私、父ちゃん死んで嬉しいわけじゃないよ」
「解ってる。お前が一番悲しいの、おじちゃん解ってる」
「一番悲しいのは、母ちゃんだよ。
兄ちゃん達も姉ちゃんも、みんな泣いてるのに、私涙でないの」
妹の優しさを耳にして、涙が出ました。
そして、妹につらく当りつづけている母に辟易したりもしました。
「あのね、父ちゃん死んじゃった時、私寝てたじゃん」
「うん、疲れてたんだな。2か月ろくに寝てなかっただろう」
「父ちゃんが寝ろって言ったの。でもね、変な夢見たの」
妹はこんな話をしていました。