しずか「でも……」
カルーアミルクのグラスを置いて、しずかが口を開いた。
みんなの酒のペースは格段に遅くなっていた。
しずか「でも、まだドラちゃんが嘘をついたとは限らないわ」
スネ夫「ま、断定は出来ないね」
ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」
出木杉「つまり、ドラえもんがいた未来と僕らの未来は違う……未来が変わった
可能性もある」
スネ夫「本来は今年中にタイムマシンが出来てるはずなのに、その未来がねじ曲
げられた」
出木杉「そう。その可能性は高いだろうね」
のび太「問題はどこまで未来が変わったのかだね。タイムマシンが遅れただけな
らいいけど、最悪……」
しずか「ドラちゃんが、作られない?」
スネ夫「かもね……」
ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」
スネ夫「こういうのは考えられないかな?」
出木杉「なんだい?」
スネ夫「確かに、今の科学じゃドラえもんの道具やドラえもん自体の開発は考え
られない。でも、今の科学を急激に発達させる何かがあったとしたら?」
のび太「何かって?」
出木杉「戦争があると技術が発達するっていうよね」
しずか「そんなまさか……」
スネ夫「待って待って!そんな物騒な話じゃないんだ。例えば、宇宙人が地球に
来たとする。彼らは未知の文明を持っていて、彼らの技術を参考に地球
の科学が爆発的に飛躍するんだ」
しずか「宇宙人が……?」
のび太「確かに、なくもない」
出木杉「おいおいのび太くん、科学者らしからぬ発言だね」
のび太「いや……僕らはドラえもんの道具で何度か宇宙に行き、その星の文明に
接しているんだ。宇宙人を否定できない」
スネ夫「まあ、宇宙人でなくてもいいんだ。未来人が秘密道具を落としていった
とか……とにかく、爆発的な科学の進歩によって2112年までにあのレベ
ルに達する。そういう可能性もあるんじゃない?」
のび太「ありうるね。それならタイムマシンが遅れただけのことになる」
しずか「確かに……」
出木杉「考えられなくはないな。未来人か……」
ジャイアン「さっぱりわからん」