数日後
長女「シンデレラ!! ちょっといらっしゃい!!」
シンデレラ「は、はい」
長女「これをみなさい」ペラッ
シンデレラ「これは……?」
長女「役割分担をすることにしたわ。放っておいたら、貴方はいつまでも家の中を奔走するでしょ?」
シンデレラ「ご、ご迷惑でしたか……?」
長女「誰がそんなこと言ったわけ?」
シンデレラ「ひゃっ……」ビクッ
長女「こほんっ。今のは、怒ったわけじゃないのよ」
シンデレラ「はい……」
長女「貴方は料理だけしたらいいから。いいわね?」
シンデレラ「洗濯や掃除は?」
長女「頼れるお姉様たちがやりますわ。そもそもシンデレラに家事をやれなんていったかしら? 貴方が勝手に貢献してくれているだけでしょ?」
シンデレラ「す、すこしでも……私を引き取ってくれたお母様やお姉様に恩返しが……したいと……」
長女「……!」
シンデレラ「ですから……」
長女「ふ、ふんっ!! 今更、健気ぶっても周知の事実よ!!! 何言ってるのかしら!?」
シンデレラ「も、もうしわけあり――」
長女「謝るのもいい加減にしなさい。か、か、かぞ……く……にそんなこと言われても、耳障りなだけよ」
シンデレラ「……はい、申し訳ありません」
長女「ともかく。シンデレラの役目はキッチン!! いいこと?」
シンデレラ「は、はい。分かりました」
長女「いってよし」
シンデレラ「失礼しました」
長女「……シンデレラ? 今は何をしていたの?」
シンデレラ「えっと……トイレ掃除を……」
長女「ちょっと!! 毎日掃除してどうするわけ!? あなた、トイレの女神かなにか!?」
シンデレラ「あ、いえ……そんなつもりは……」
長女「あのズッコンバッコンするやつをお貸しなさい。私がやるわ」
リビング
シンデレラ「……」
シンデレラ「……」ソワソワ
シンデレラ「……窓拭きぐらいなら……きっと……」
次女「シンデレラ?」
シンデレラ「ひゃぁ!!」ビクッ
次女「……」
シンデレラ「あ……あの……ま、まどふきなら……いいかなって……何もしないのも……さすがに……あの……」
次女「洗濯物、上手く干せたと思う? ちょっと見なさいよ」
シンデレラ「え……?」
次女「どう? あんな感じでしょ?」
シンデレラ「は、はい、とてもいいと思います」
次女「ふん。そう。そうなの。へぇ、あれでいいのね。ふぅん……うんうん……よしよし……ふふっ……」
シンデレラ「……」
長女「シンデレラー? 混ぜると危険な洗剤はいつ使用すればいいの?」
三女「んしょ……んしょ……」ゴシゴシ
シンデレラ「あの、お姉様?」
三女「なによ? 貴方はリビングでうたた寝していればいいでしょ?」
シンデレラ「い、いえ、お手伝いを……」
三女「はぁぁ?」
シンデレラ「十分、休ませてもらいましたので……」
三女「動いていないと死んじゃう病気なの?」
シンデレラ「いえ、そんな病気は患ってないと思います」
三女「なら、朝はゆっくりしてなさい。今の貴方にはお似合いだわ」
シンデレラ「わかりました……。失礼しました」
三女「……」
三女「ちょ、ちょっと!! シンデレラー!? 貴方が手取り足取り教えてくれないから、全然捗らないでしょ!?」
シンデレラ「え……?」
三女「全く、それぐらいの気遣いもできなわけ? これだからシンデレラはトロいって言われちゃうのよ」
シンデレラ「は、はい! 申し訳ありません!! すぐに雑巾を持ってきます!!」