温かいものでも飲みながら聞いてくれ。
はじめるよ。
今日は、俺にとって、伝統の戦いの最終節だ。
そう、イタリアンレストラン・早業のサイゼリヤとの最終決戦の日である。
サイゼリヤは、提供が異常なまでに早く、料理の値段も安いことで有名なレストランである。
その中で、サラダとパスタを同時にオーダーし、パスタが来る前にサラダが食べきれるかという激しい戦いが今日終わりを迎えるのである。
思えば、初戦はボロ負けだった。
教習所の帰りに偶然見つけたサイゼリヤに入った俺は、サラダとパスタを頼んだ。
すると、サイゼリヤ側は俺がセルフサービスの水を汲みに行く間に、サラダを持って来るという離れ技で俺を圧倒した。
当然、スタートに出遅れた俺は、次のパスタが来るまでにサラダを平らげることは敵わなかった。
まさに惨敗である。
それ以来、 俺は、サイゼリヤと死闘を繰り広げてきた。
戦いの基本は、店が空いているか混んでいるか、また、店員の提供技術が高いか低いかをを見極めることである。
それゆえ、新しいバイトの子が入っているのを見て勝利を確信したり、満員の客席をみてガッツポーズをしたり、
あるいは、反対に、全く客のいない時間帯に入ってしまって失意のうちに敗北したり、愛川さん、大場さんといった超強力なメンバー構成により大敗北は喫したり(俺を勝たせないよう、サイゼリヤ側が意識して布陣を敷いたのだと今も思っている)ということもあった。
そして、今日が、その戦いのフィナーレで、両者が5勝5敗で迎える第11戦なのである。