のび太「本当は嫌なのにニコニコ笑って話すなんて僕にはできない。絶対顔に出ちゃうもん。だからいつまでも一人ぼっちなのかもね。はは……まぁ相手の為に疲れるくらいなら別に友達なんていらないけどね。」
しずか「……のび太さんが羨ましいわ。」
のび太「えっ?」
しずか「私だって一緒よ。嫌ってほど気を遣って友達ごっこするのが嫌になったからのび太さんに連絡したのよ。」
しずか「でもね、私にはのび太さんみたいな強さはなかった。上辺だけの友達なんていらないと割り切る強さがね。」
しずか「教室で他の子が喋ってる喧騒の中で、一人でなんでもない顔するのなんて耐えられない。私は弱いのよ。一人じゃファミレスにも入れないくらい弱いのよ。だかr」
のび太「弱くない。」
しずか「……?」
のび太「しずちゃんは弱くなんかないよ。嫌われるかもしれないのに、陰口言う友達にやめろって言ったじゃない。」
しずか「……」
のび太「きっと他の子たちだって嫌に決まってるよ。次は自分なんじゃないかってビクビクして過ごしてるはずだよ。」
のび太「だからさ、誰かに合わせる必要なんてない、そんな友達にすればいいんじゃないかな?」
のび太「そりゃ、そんな簡単な話じゃないのはわかってるんだけど……」
しずか「じゃあ、のび太さん。」
のび太「何?」
しずか「どうすればそんな友達になれるの?」
のび太「……」
しずか「まさか、考えてなかったの?」
のび太「そそ、そんなことないよ!!」
しずか「……」
のび太「……」
しずか「ふふっ」
のび太「?」
しずか「あはははは、ごめんなさい。ちょっと笑いが止まらないわ。ふふふ」
しずちゃんはダムが決壊したように笑い出した。こんなに笑ったのは久しぶりだった。
自分でも何がおかしいのかわからない。何がこんなに面白いんだろう。
あぁ、そうか。相手がのび太だからだ。ここまで正直な人間がいるだろうか。なんて馬鹿なんだろう。なんて……
しずか「ふふっ……」グスッ
のび太「ちょ、ちょっと、今度はどうしたの!?」
しずか「……」トン
のび太「う、うわっ、しずちゃん?」
しずか「ごめんね。ちょっとだけこのままにして。」