後輩女「やっぱりIマネとは仲が良いんですね」コロコロ
男「彼、昔は相模原にいたみたい。俺とは相模原にいた時期がかぶらなかったけど、俺も同じマネージャーだったから顔は知ってるし、
結構同じことを知ってるし考えてるみたいだから」
後輩女「そうなんですか……確かに他のマネージャーより報告の仕方がわかりやすいですよね」コロコロ
男「彼が気になる?」フゥ
後輩女「は?」
男「Iマネは格好良いからね。いわゆるイケメンじゃない? 背も高いし」トンッ
後輩女「何の話ですか? わたし、そんなことまったく考えていません」
男「そうなんだ。まぁ、Iマネはもう結婚されてるし」
後輩女「ふぅん、そうですか」ガリガリ
男「……怒ってる?」
後輩女「怒ってません。呆れたんです」
男「何で?」
後輩女「……自分で考えてください」
男「……ふぅ」
後輩女「………………」
男「………………」
後輩女「……あの、そんなに考えることですか?」
男「ん、そんなに考えてないよ。大体わかってるから」
後輩女「じゃあ……何でだと思いますか?」
男「うーん、俺が言って良いの?」
後輩女「………………」
男「……良い?」
後輩女「駄目……です」
男「うん、わかった。言わないよ。俺もその方が良いと思うから」
後輩女「部屋、隣同士でしたね」
男「禁煙の部屋を取ってくれたのね。ほんと、しっかりしてるよ、君は……」
後輩女「そこしか空いてなかったと思えば良いんです。荷物を置いて少し休んでから温泉に行きましょう」
男「温泉か……久しぶりだなぁ」
後輩女「温泉は旅館にあるみたいで、そこでご飯も食べられるみたいです。同じ場所で済ませてしまいましょう」
男「温泉は混浴かな?」
後輩女「そこまでは……でも違うと思います」
男「そっか……」
後輩女「……男先輩、何を期待したんですか?」
男「世の男が期待するようなこと、かな?」
後輩女「……エ◎チです」
男「混浴じゃないのか。君と入りたかったなー」
後輩女「明らかに棒読みです。からかわないでください」
男「君は、俺と一緒に入りたかった?」
後輩女「え? あ、えっと、その……それは……」
男「……ごめん、冗談だよ。そんなに困るとは思わなかった」
後輩女「………………」
男「ほんとに、ごめん……部屋で待ってるから、出る時に声かけてよ」ガチャ
後輩女「わたし……」
男「また、後で」バタン
後輩女「一緒でも……一緒が……いいです」
後輩女(もう、男先輩もわかってるよね……?)
後輩女(あなたが好きです……これだけなのに、言えない。やっぱり怖がってる……)
後輩女(はっきり伝えれば、はっきり返ってくる……それがわたしの知る男先輩)
後輩女(今の関係が壊れてしまうのはとても怖い……でも、それ以上になりたいの……)
後輩女(何で……涙が出るんだろう……臆病だから……?)
後輩女(いつも通りに……しなきゃ)
後輩女「男先輩?」コンコン
男「――はい。そろそろ?」ガチャ
後輩女「えぇ、そろそろ温泉に行きましょう。お夕飯が遅くなってしまいますから」
男「そうだね、少し待ってて。すぐ用意するから」
後輩女「お部屋に入っちゃいますね。お邪魔します」
男「着替えとタオルと……洗面道具と……」
後輩女「……ホテルの一室に二人きりですね」
男「女の子がそういうこと言わないの。はしたないよ?」
後輩女「やっぱりダブルかツインの部屋にしたかったです。そうすればずっと男先輩と一緒にいられるのに」
男「……駄目だよ。自分は大切にしなさい。一緒に仕事しているからって、俺を信用し過ぎては駄目」
後輩女「そんなこと言われても、もうわたしの中で男先輩の存在はかなり大きくなってます。男先輩を疑わない方が難しいです」
男「そこを意識して、俺の行動とか存在を疑いなさい。それが君の身を守ることになるんだから」
後輩女「……あなたの前だけは、わたしは自分を守る必要なんてありません。それだけはわかってください」
男「でもね――」
後輩女「わかってください……いえ、わかっているはずです。男先輩は、もうわたしの想いに気付いてるはずです」
男「それは……あ――」