女「ち、ちがいます。変な勘違いしないでください」
男「僕に抱かれたくない理由なら、お聞きしますけど」
女「あくまでその話題にもってこうとしますね」
男「だって、あなたの自禾殳理由を聞いても、あなたを抱けるわけじゃないですよね」
女「しつこいですっ!」
男「まじめな話すると、タヒぬ理由って聞いても面白くないじゃないですか」
女「面白いって……」
男「だいたい予想がつきますしね。興味がわかないんです」
女「ずいぶん簡単に言いますね」
男「ええ、本気でそう思ってますから」
男「僕は、タヒぬ理由よりも、どちらかというと生きる理由のほうに興味があります」
女「生きる理由?」
男「タヒぬ理由に比べて、生きる理由って曖昧だと思うんですよね」
男「そしてタヒぬ理由よりも、ずっといろんなものがあると思います」
男「どうせ聞くなら、そっちのほうがいいでしょう」
女「生きる理由……そんなの、なんとなくですよ」
女「タヒなないし、なんか生きてるから生きてる」
女「そんな感じで生きてることに答えなんてないですよ」
男「それがいいんじゃないですか」
男「一生かけても見つからない理由。いや、タヒんでもなおわからない理由」
男「そういうのって、ステキじゃないですか?」
女「……遠まわしに、わたしの自禾殳を止めようとしてるんですか?」
男「いえ、ぜんぜん。あくまで僕はあなたのからだが目的なだけです」
女「スキがあったら、その話題にもってきますね!」
女「世の中にはタヒぬよりつらいことってあると思うんです」
男「そういうことも、たしかにあるかもしれませんね」
男「でも、世の中には……」
女「わたしよりもつらい思いをして、でもがんばっている人がいる」
女「そういうありきたりなことを言うつもりですか」
男「おおっ! すごいですね、これがうわさのコールドリーディングですか」
女「自禾殳志願者に言う言葉なんて、限られてますから誰でもわかります」
男「それもそうですね」
女「そういう不幸を相対的に見るのっておかしいですよね」
女「わたしとわたし以外の人間の不幸に、いったいどんな関係があるっていうんですか」
男「ごもっともです」
女「またあっさりと認めるんですね」
男「ええ。言ってるでしょう? 僕はあなたの自禾殳を止める気なんてないって」
男「ただ肉体関係を一度だけ結んだら、それで十分ですから」
女「もうなにも言いません」
男「え? ということはいいんですか?」
女「そういうことじゃありませんからっ!」
男「コワイなあ。だんだん凶暴になってません?」
女「あなたのせいでしょう!?」
男「じゃあわかりました。クールダウンのために、ひとつ質問しましょう」