「……もう、世話がかかるなぁ」
そしてそのまま、トラックの荷台に乗り込んだ。
(しんちゃん!早く降りなきゃ!)
「そうかそうか。シロもいい考えって思うのか」
(違う違う!早く降りなきゃ!)
僕の必死の声も虚しく、トラックは揺れながら動き始めた。
「出発、おしんこー!」
しんちゃんは、いつものように手を上げる。
だけど、きっと大変なことになる……僕は一人、溜め息を吐いていた。
トラックはしばらく走り、そのまま高速道路に乗り込んだ。
荷台の隙間から、車が走るのが見える。
行き交う車はせわしなく過ぎ去り、それぞれの目的地に向かって行く。
……しんちゃんは、どこに行こうとしてるんだろう。
目的地なんてあるのかな。たぶん、何も考えてないんだと思う。
しんちゃんに目をやると、彼はただ、過ぎ去る景色を見つめていた。
特に何か表情があるわけじゃない。
だけど、とても寂しそうな目をしていた。
そして匂いは、どことなく、悲しくなってくるようなものだった。
ここまでの家出は、これまで一度もなかった。
たぶんしんちゃんも、思い付きでトラックに乗り込んだんだと思う。
それでも、こんなことまでしてしまうなんて……
(本当にどうしたの?しんちゃん……)
目が覚めた時、辺りは真っ暗だった。
いつの間にか眠っていたようだ。
トラックも高速道路を降りていたが、辺りは真っ暗で、いったいどこを走っているのかも分からない。
(しんちゃん。起きて、しんちゃん)
体を揺すって起こす。
ようやく起きたしんちゃんは、目を擦りながら周囲を見渡す。
「……真っ暗だぞ……シロ、ここどこ?」