【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「ところでしんのすけさん。あなたは確か、中小企業で働いていたのではありませんか?どうしてこの工場で……」

「ええと……それはね……」

「……あ、もしかして言いにくい事情がおありなんですか?それなら、無理に言う必要はありません」

「……そ、そう?ありがとう、あいちゃ――」

「――こちらで、調べますので……」

「へ?」

「――黒磯」

あいちゃんの呼び掛けに、天井からスーツ姿の黒磯さんが降りて来た。

「―――!?」

黒磯さんは、白髪になっていた。色々と苦労が多いのかもしれない。それでも、その白髪頭は、まるで歴戦の戦士のように見える。なんというか、渋い。
黒磯さんは、オラに深々と一礼した。

「……お久しぶりです、しんのすけさん。お元気でなによりです」

「あ、ああ……黒磯さんも……相変わらずだね……」

「黒磯。至急調べなさい」

「――御意」

あいちゃんの言葉に、黒磯さんは再び天井にロープを投げ、スルスルと昇って行った。
……色々と、レベルアップをしているようだ。

それから十数分後……

「――戻りました、お嬢様……」

今度は床下から這い出てきた黒磯さん。何でもありのようだ……

(ていうか、早すぎるだろ……)

そして黒磯さんは、一枚の紙をあいちゃんに渡す。
それを見たあいちゃんは、目を伏せた。

「……なるほど……こんなことが……しんのすけさんの心中、お察しします」

「察する程でもないって。特に何も考えてなかったからね」

「それでも、人のために行動するその御気持ち……あいは、感動しました!」

あいちゃんは紙を抱き締めながら、天を仰いだ。

「そんな、大袈裟だなぁ……」

するとあいちゃんは、視線をオラに戻す。そして、優しい笑みを浮かべて、切り出した。

「――しんのすけさん、あなたは、今の職場で働いていくおつもりですか?」

「う~ん……まあ、僕がいないと困るだろうし……。それより、なんで?」

「……実は、酢乙女グループの本社ビルで、新しく1名の雇用を募集しているのです」

「酢乙女グループの?」

「そうです。――しんのすけさん。そこに、応募してみませんか?」

「……え?」

▼ 続きは次のページにて♪ ▼
前のページへ 次のページへ