【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……だから言ったじゃん。お兄ちゃん、すぐなんでも背負っちゃうって……。何で私に何も言ってくれないの?
 ――そんなに、私が信じられない?」

「い、いや……そうじゃなくて……」

「――だったら何!?黙ってれば私のためになると思った!?お兄ちゃんはいつもそう!私に気を使って!!私に黙って!!」

「……」

「……いつも勝手に決めて、何も話してくれない……お兄ちゃんは、私の気持ち考えたことあるの!?」

……ひまわりの叫び声に、室内は静まり返った。
オラは、何も言えなかった。反論すら、出来なかった。

「……もういいよ……!!」

そう言い捨てると、ひまわりは2階の自分の部屋に駆けあがって行った。
オラは、その姿を見ることしか出来なかった。

「……ひまわり……」

「――しんのすけくん、どうかしましたか?」

車を運転してい黒磯さんは、ふいに話しかけて来た。

「え?」

「顔が、落ち込んでいますよ?」

「は、はあ……」

この人は、たぶん人をよく見てるんだと思う。長年この仕事をして培われた、洞察力みたいな。
この人の前だと、隠し事なんて出来ないな――
そう、思った。

「……ちょっと、妹とケンカしまして……」

「妹……ひまわりさんのことですか?」

「はい。隠し事が、ばれちゃったんですよ。心配かけないように黙ってたんですが、逆に心配かけちゃったみたいで……」

「……仕事の、ことですか?」

「……はい」

「………」

黒磯さんは、何かを考えていた。そして、急にハンドルを切る。
それは、本来向かうべき方向とは、違う方向だった。

「……少し、休憩しましょう。この先に、海が見える見晴らしのいい波止場があります。コーヒーくらい、奢りますよ」

「はあ……」

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