【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……お兄ちゃん、どうしたの?」

「……いや、別に……」

疲れ果てて、オラは家でぐったりしていた。
ボディーガードという名目でなってはいるが、ほとんど秘書のような存在だった。
あいちゃんのスケジュールを調整し、送迎をする。何か希望があれば、可能な限りそれに応える。
これまで、黒磯さんが一人でしていたことだ。

黒磯さんは感激していた。
何でも、ようやくあいちゃんも認める後継者が出来たとか。
黒磯さんに、仕事のいろはを叩きこまれる毎日だった。

(あの人、これをあいちゃんが小さい頃からやってたんだよな……タフなはずだ……)

いずれにしても、給料面はかなり上がった。以前勤めていた会社よりも、ずっと。
だがその分体力を消費するのは否めない。工場よりも、ずっと。

……その時、ひまわりが小さく呟いてきた。

「――お兄ちゃんさ……なんか、私に隠してない?」

「……え?」

ひまわりの方を振り向いた。彼女は、とても辛そうな顔をしていた。

「……隠すって……」

「……私さ、今日、お兄ちゃんの会社に行ったんだよね。久々に、一緒に帰ろうって思って……」

「―――ッ!」

「上司の人に聞いたよ。――お兄ちゃんが、会社を辞めたこと……」

「そ、それは……」

ついに……気付かれてしまった。いずれ言おうと思っていたことだった。だが結果として、秘密にしていたとも言えるだろう。

ひまわりは、とても悲しそうに目を伏せていた。

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