【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……もしもし、野原です……」

「あ!野原さんですか!?」

「は、はい……あの……」

「野原ひまわりさんという方は、ご家族におられますか?」

「はい。僕の妹ですが……」

「ああ、良かった!――課長!ご家族の方に連絡取れました!」

電話の向こうの相手は、誰かに報告していた。とてもガヤガヤしている。
……その様子は、以前経験したことがあった。

「あ、あの……」

「ああ、失礼。私、◯◯警察署の者ですが――」

「――」

目の前が、真っ白になった。
足の力は抜け、その場に崩れるように座り込んだ。

「大丈夫ですか!?」

「――え?あ、はい……それで、ひまわりは……」

「実は、ひまわりさんが事故に遭いまして……」

「……そ、それで、無事なんでしょうか――」

「……はい。命に別状はありません」

「そ、そうですか……」

身体中の緊張が、一気に解けた気がした。
だが警察官は、言いにくそうに続けた。

「――命に別状はありませんが……ただ――」

「……え?」

「―――」

「―――」

……それ以降の会話は、よく覚えていない。

「――いやぁ!参っちゃった!」

「まったく……ケータイ忘れてた時に車に跳ねられるなんて……おかげで、警察官もお前が誰なのか分からなくて苦労したみたいだぞ?会社だって閉まってるし……」

「いやぁ、面目ない……」

「まあ、命が無事だっただけマシだよ」

「うん。そうだね」

ひまわりは、帰る途中に事故に遭ってた。
普段あまりものを持ち歩かない性分が災いし、確認に時間がかかってたとか。
とにかく、命が無事なら、今はそれでいい。

――ただ……

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