【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

それから、ひまわりの退院の日を迎えた。

「うわぁ……!」

ひまわりは、家の変わりように声を上げる。

家の中は、すっかり変わっていた。
タンスは全て一回り低いものに変え、大概のものが車椅子のままでも手の届く位置に置いた。
まるでリフォームでもしたかのような室内は、久しく家に戻らなかった彼女にとって、新鮮なものだろう。

「これなら、だいぶん過ごしやすくなると思うから」

「……うん。ありがとう」

言葉とは裏腹に、ひまわりからは、さっきまでの元気はなくなっていた。
顔も、どこか辛そうにしている。

「……どうした?」

「……ごめんね、お兄ちゃん。私のせいで、お兄ちゃんに迷惑をかけて……」

「……」

ひまわりは、完全に俯いてしまった。
それは、彼女の心からの言葉なのだろう。

――だからこそ、オラは彼女にデコピンをする。

「ていっ」

「あいたっ!」

ひまわりは、おでこを押さえたまま、目を丸くしてオラを見ていた。

「なに妙な遠慮してんだよ。オラとお前は他人か?」

「……」

「違うだろ。家族だろ。お前の、しょうもない遠慮なんて、オラには通じないからな。
お前が歩けないなら、オラが後ろを押してやる。オラは、お兄ちゃんだからな。
――だからお前も、妙な気を使うなよ」

「……うん……うん……!」

ひまわりは、涙を堪えながらずっと頷いていた。

……そうだ。オラは、ひまわりのお兄ちゃんなんだ。
オラが、ひまわりを支えるんだ。

改めて、そう決意した。

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