オラとまさおくんは、近くの喫茶店に移動していた。
まさおくんは、テーブル上に項垂れていた。
「……まさおくん、大丈夫?」
「うん……なんとか……」
よほどショックだったのだろうか。声に全く生気を感じない。
魂だけ、上空3000mまで旅立ってるようだった。
「……しかし驚いたな。ねねちゃんが、あんな男の人と歩いていたなんて……」
その男性は、男のオラが見てもイケメンだった。
少し色黒ではあったが、黒色単髪の爽やかフェイス。笑顔の中にはキラリと白い歯が光る。高身長で足も長く、スタイルもいい。痩せているが、貧相な体ではない。いわゆる、細マッチョと呼ばれるものになるだろう。
まさに芸能人も真っ青なくらいのイケメンには驚いたが、それ以上に、ねねちゃんが二人で歩いていること自体に凄まじい衝撃があった。
二人の様子を思い出していたオラに、項垂れたまま、まさおくんが言い始めた。
「……あの人、ねねちゃんの仕事場の保育士さんなんだ……」
「ねねちゃんの職場って……フタバ幼稚園?」
「うん……。前に、見たことがある……」
「保育士さんねぇ……」
あれだけのイケメンの保育士なら、保護者(ほぼ母親限定)からは、絶大な人気を誇ってるだろう。
「……あの二人、いつもああやって二人で帰ってるんだよ……仲良く、話しながらね……へへへ……」
「そ、そうなんだ……」
どうでもいいけど、まさおくん、顔がミイラみたいになってるよ。