【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「――しんちゃん聞いてよ!!」

それから数日後の夜、まさおくんは血相変えて家に飛び込んできた。
靴を乱雑に脱ぎ捨てたまさおくんは、そのまま居間にいたオラの元へ駆け寄る。

「あ、あの男のことを調べたんだけど……!!」

調べた結果……そんなもの、分かりきっていた。

「――チーターだったんでしょ?」

「そうそう!あの男、実はチーター……!!……って、何で知ってるの?」

まさおくんは、目を丸くしていた。

「この前、たまたま会ったんだよ。ねねちゃん、オラ達のこと話してたみたいだよ?」

「え!?ねねちゃんが、僕のことを!?」

(オラ達って言ったのに。ずいぶんポジティブなことで)

「で!?どうだった!?」

「どうって……」

「チーターだよ!話したんでしょ!?」

「ああ、そういうこと。少ししか話してないけど、いい奴だよ、彼」

無駄にイケメンだったけど。

「しんちゃん!騙されてるよ!」

まさおくんは激怒した!

「そんなの、ただの見せかけだよ!フェイクだよ!本性はもっと、黒いはずだよ!」

まさおくんは自信満々に言い放つ。……しかしまあ、相変わらず言ってることは無茶苦茶だ。

どうするか悩んだけど、さすがにそろそろ言うことにした。

「……ねえ、まさおくん。オラは、キミの友達だからさ、だからこそ、敢えて言わせてもらうね」

「……え?な、何を……」

「――いい加減にしなよ、まさおくん」

「――ッ!?」

オラの言葉に、まさおくんは言葉を飲み込んだ。

「……しんちゃん……」

「まさおくん、正直に言うけど、今のキミは見てらんないよ。ねねちゃんが好きなのは分かるし、盗られたくない気持ちも分かる」

「……」

「……でもね、今のキミはあんまりだ。話してもいないのに勝手に全部決めつけて……そんな姿を見て、ねねちゃんがキミに好意を持つと思ってるの?」

「……そ、それは……」

「キミにはキミのいいところがあるんだ。だから、もっと素直にねねちゃんと向き合いなよ。
……今度、オラとフタバ幼稚園に行こうよ」

「……うん。ありがとう、しんちゃん……」

まさおくんは、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。
正直、こんなことを言うのは忍びないところもある。だけど、まさおくんのことを知るオラだからこそ、言う必要があった。
でも最後は、まさおくんも分かってくれた。
それだけで、言って良かったと思う。

「……しんちゃんと一緒に、敵情視察だ……」

まさおくんは、ぼそりと呟く。

……分かってくれたんだよね?

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