【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

すると男の一人に、突然電話がかかってきた。

「……はい。―――ッ!!」

電話に出た瞬間、男の顔色は変わる。

「は、はい――!!……いえ、実は……」

そして男は背を向けて、何かを語り始めた。

「―――え!?で、ですがそれは……!!………はい……はい。分かりました……では……」

電話を終えた男は、他の男達に何かを耳打ちする。
それを聞いた男達は、一様に驚きの表情を浮かべた。

……しかしすぐに、オラ達に背を向けて、離れはじめた。

「……なんだ?」

不思議に思ってると、男の一人が後ろを振り返った。

「……今日のところは、お嬢様をお任せいたします。ですが、何かあった時は……」

「……わかってますって。煮るなり焼くなり、好きにしてください」

オラの言葉を聞いて安心したのか、男はそれ以上何も言わずに、立ち去って行った。

「……いったい、どうしたんでしょうか……」

「……さあね。とにかく、駅に向かおう。電車の時間が、迫ってるし」

腑に落ちないところもあったが、オラ達は、再び駅に向かい始めた。

電車に乗ったオラ達は、線路を走る振動に揺られていた。
窓の外の音は走行音に消されて、単調な音はどこか心地よく感じる。

気が付けば、あいちゃんは眠ってしまっていた。
オラの肩に、頭を預けて。
どうするか考えたけど、起こすのも悪いし、そのまま寝かせることにした。
そんな彼女の髪からは、仄かに海の香りがしていた。

電車は次の駅に止まる。
すると、ホームから、一人の老人が入ってきた。
初老くらいだろうか……しかし身なりは、とてもしっかりしている。スーツを着こなし、白髪の髪を揃えていた。その雰囲気は、威厳に溢れている。
その老人は電車に入るなり、真っ直ぐオラのところへ近付いてきた。
そして、優しく声をかけてきた。

「……隣に座っても、よろしいでしょうか?」

「……え、ええ……どうぞ……」

「ありがとう……」

そして老人は、オラの隣に座る。
電車の中は、オラ達3人しかいない。だから席だってガラガラだった。
それなのに、わざわざオラの隣に座るなんて……でも、その理由は、なんとなく分かっていた。

しばらくの間、オラと老人は、対面の窓の外を眺めていた。
夕陽が窓から射し込み、オラ達の顔をオレンジ色に染めていた。

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