【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

それから数日後、オラは仕事に翻弄されていた。

「――しんのすけさん!これとこれ!すぐにデータにまとめてください!」

「ふぁぁあいぃ……」

目の前には、次々と分厚い資料が山積みとなっていく。

酢乙女グループでは、新事業を進める。
その指揮を執るのが、あいちゃんとなっていた。

おかげで連日この有様。残業に次ぐ残業の毎日。家にはとりあえず帰って数時間程度寝るだけの毎日だった。
しかし今日が山場であり、明日以降は落ち着くとのこと。

オラは袖を捲り上げ、栄養剤を一気飲みする。
そしてパソコンに正対し、キーボードに覇気を込め―――!!

「しんのすけさん!これも追加!!」

……とにかく、頑張ってみる。
オフィスからは、今日もキーボードの音が鳴り響いていた。

クタクタに疲れ果て、家に帰る。
今日は連日の残業を考慮され、日中に退社させてくれた。

玄関を開けるも、もはや『ただいま』を言う元気すらもない。靴を脱ぐなり、這いつくばるように家の中に入って行った。

「―――そうだね。それは分かってる……」

――ふと、台所から、ひまわりの声が響く。

(ん?)

「……そう……うん……ごめんね……」

どうやら、電話中のようだった。相手はおそらく、風間くんだろう。

盗み聞きをするのもアレだったから、とりあえず二階へと避難することに。

「……でも、やっぱり……そう……ごめんね……」

……何やら、重苦しい口調だった。
なんだろうか。何か、トラブルでもあったのだろうか……。

どうするか悩んだが、あえて声を出してみた。

「……ただいま」

「え――ッ!ご、ごめん!お兄ちゃんが帰ってきた!またあとでね!」

台所の奥から、慌てて電話を切るような会話が聞こえる。
そしてその後、きこきこと音を鳴らしながら、ひまわりは車椅子で出迎えた。

「お、おかえり!今日は早かったね!」

「ああ。ちょっと早く終わってな」

「そうなんだ!ほら、早く着替えてきなよ!」

「……そうするよ」

オラは、家の奥へと向かう。

……やはり、何かあったようだ。
ひまわりの話し方が、無駄に明るい。こういう時は、何かをオラに隠しているパターンだ。
伊達に彼女と長く過ごしているわけではない。彼女の癖など、オラにはお見通しだった。

……問題は、何を隠しているのか、ということ。
話しの感じから、おそらくは風間くんとの何かだろう。

……しかしまあ、男女の仲に親族が首を突っ込むのもアレだったので、オラは気にせず、食事の用意を始めた。
今日のご飯は、焼き魚にしよう。

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