「……ひまわり。本当にオラのことを考えてくれるなら、お前が思うようにしろ。お前の願いを、口にするんだ」
「……お兄ちゃん……」
ひまわりは、潤んだ瞳でオラを見る。もしかしたら、まだ悩んでいるのかもしれない。
……だから、もう少し背中を押すことにした。
「……大丈夫。ひまわりがどういう返事をしても、お兄ちゃんはもう怒らないよ。
お兄ちゃんは、ずっとひまわりの味方だ」
「……うん……」
そしてオラは、その場を立ち去る。
オラが歩き出すと、二人はまたお互いを見つめ合っていた。
それからどういう話になったのか分からない。二人が、どういう言葉を送ったのか分からない。
……だけど、それはオラが干渉するべきではないことだろう。それに、きっと二人なら、オラなんか必要じゃない。必要ないんだ。
少し寂しくはあるけど、それでも暖かい。
どこかすっきりした気持ちを胸に、オラは家に帰った。
……それから1週間後、風間くんはオラの家に来た。
そして、彼はひまわりと一緒に、オラに結婚することを告げた。
「……そうですか……風間くんとひまわりちゃんが……」
会社の椅子にもたれかかっていたあいちゃんは、オラの言葉を呟く。
表情は、どこか安堵していた。
「式は、近親者だけでするって。あいちゃんにも招待状が届くはずだよ。かなり急な日取りだけど……風間くん、時間ないし……」
「……そうでしたね。風間くんは……」
ふと、あいちゃんは表情を伏せる。
祝福したいが、素直には出来ない……そう言った顔をしていた。
……風間くんは、間もなく海外へ出発する。
海外の支社では、しばらく忙しいだろう。新しく出来る支社なら、それも仕方ない。
おそらくは、数年……下手すれば、それ以上は帰らないだろう。
「……しんのすけさん。ひまわりちゃんが風間くんに付いて行くということは……」
「――あいちゃん。今は、二人を祝福しよう。そして、笑顔で見送るんだよ」
「……はい」
あいちゃんは、沈んだ表情のまま小さく頷く。
……ひまわりの結婚式は、間もなくだ。
