みさえの体調は崩れることもなく、医師はこのまま行けば母子共に問題はないだろうとのことだ。
お腹も膨らんできて
赤ちゃんもしっかり大きくなっているようだった。
しんのすけ「かあちゃん!!」
みさえ「あら、あなた。しんちゃん。」
仕事が終わると
しんのすけを連れ
病院に行く。
ここ数ヶ月の日課だ。
しんのすけ「赤ちゃんはお元気ー?」
みさえ「ええ、元気よ。ほら、触ってごらん。」
しんのすけ「おお!今動いたゾ!?」
みさえ「うふふ」
病気には見えないくらい元気なみさえは、安心感を与えてくれた。
このまま何事もなく
赤ちゃんは大きくなり
みさえも元気になる。
心のそこからそう思えた。
そう、信じていた。
出産予定日まで
あと2ヶ月となったある日のことだった。
その日もいつもと変わらず、仕事終わりにみさえの所へ来ていた。
みさえ「あらあなた、お疲れ様。」
ひろし「おう。」
みさえ「あれ?今日しんちゃんは?」
ひろし「ああ、オヤジ達と飯食いに言ってるよ。」
みさえ「そう。あなたも行けばよかったのに。」
ひろし「いや、今日はそういう気分じゃなかったんだ。それに、たまには2人で居たかったし…」
みさえ「あなた…」
ひろし「ほら!今日はケーキ買ってきたんだ。オヤジ達だけウマいもの食うなんて、ずるいからな。一緒に食おうぜ。」
白い箱の中には
いちごのショートケーキが2つ。
みさえ「ありがとう、あなた。」
一緒に買っておいた紙の皿に乗せ、みさえに手渡す。