「入って」
「お、お邪魔します」
問答の末、ようやく開いた玄関からお宅訪問。
なんだか、緊張するな。これでも女子の家だ。
意味もなく照明やら壁紙やらを眺めていると。
「キョロキョロしない」
「あ、でも、親御さんは……?」
「今はいない」
「あ、そうですか」
どうやらご両親は不在らしい。
安心したような、そうでもないような。
ちょっと安堵して、すぐにまた緊張する。
ていうか、俺はこいつに聞きたいことがある。
「あ、あのさ……」
「何?」
「その髪、どうしたんだ?」
「家では下ろしてるだけ」
いつもはワンテールの三つ編みのガリ勉が。
今日は髪を下していた。それだけであるが。
たった、それだけで、印象が違って見えた。
いや、よく見ると、もうひとつ違っている。
「ちなみに、メガネはどうしたんだ?」
「家では外してるの」
「ふーん」
「ジロジロ見るな」
メガネを外したガリ勉は、なかなかイケてた。