【※開幕バトル※】給食のおかわりタイム、それは戦場。今日もアツいバトルが始まる・・・


してやったりという顔
馬鹿な…なんという事を

「はいどうぞー」

おかわりは先生がよそってくれるようだ
若干26歳美人(彼氏なし)の女教師にゆすってもらえるとあって
武内はどや顔をしている

それを僕たちは冷めた視線で見つめ返す

戦意を高翌揚させ勝気と共に自分の食器を見下ろす武内
その表情が驚愕に染まった

明らかにご飯の量が少ないのである

それもそのはずだろう
教師は他の生徒の分までよそう必要がある
その為最初によそわれるおかわりの量もまた驚くほど減るのである

これって昼休みのOLのお弁当だっけ?

そう錯覚してしまうほど小学生男子にとってあまりに少ない量

教師の目前でのおかわり
それが僕たちにとってどれほどの意味を表すか

そんな事…この世の常識だろうが…っ!

貴重なおかわり権を消費してしまった武内
彼は意気消沈し席へと戻っていく

やつには哀れみすら湧いてくる
が、これもまた戦いだ

「うーん他にはいないかなぁ?」

いるわけないだろ

「じゃあ後でほしい子同士でおかわりしあってね」

その瞬間戦士どもは瞳を合わせる
皆見計らっているのだ


最初によそうのはタブー
なぜならばまだ教師の干渉がある可能性が否めないからだ

人は皆給食の前に平等

生徒一人に対し平等に配られる権利
それこそがおかわり権なのである
その貴重なおかわり権をふいにしたくはない

皆そう思う
誰だってそう思う

だからこそ最初をゆずり
2、3番手を目指すべき

と、素人は考える

「!?」
「!?」

期せずして僕ともう一人の児童は飛び出す

皆が固まっているこの一瞬
この忘却とも永遠とも取れる時間にこそ望みはある

誰も並んでいなかった限定販売も
誰かが並び始めたら途端に群衆は列を成す

別に要らないけど一応並んでおこうかな
みんなが並んでるから私も並ぼうかな

そんな日本人的すぎる思考回路が
最初の一歩を戸惑わせる
しかしこの一歩を踏み出さぬ者に成功はない

前人未踏の地への進行
踏みしめられぬ白銀の世界

女神は最初の一歩を踏み出した者にこそ微笑む
人類の歴史とは開拓の歴史なのだから

だがどうやら僕と同じ事を考えていたものがいたようだ

早食いの岡島
やはり奴が来たか

岡島と僕は給食のカレーを目前にして
互いの存在を認識し凝固する

どうやって分け合うか?
どのように円満に解決するか?

否、どうやって出し抜くかだ

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