「どうしてですか?」
「わたしが好きになった人にもうしわけない」
「ああ、なるほど」
「実際に否定できないし」
なにも言えなくなった俺。会長があわててフォローする。
「あ、ちがうよ。ナガタくんは、その……」
会長が口をもごもごさせる。
「ねっ? うわさって誤解を招くからよくないでしょ」
最終的にそう結論を出した。
「こういうのは、きっちりしておきたいから」
会長が俺にまっすぐ向きなおる。
「わたしとつきあってくれますか?」
「え? あ、はい……」
「わたしのこと好きなんだよね?」
「そ、それはもう……好きです」
「わたしも好きですよ」と会長は敬語で言った。