ガタン・・ゴトン・・
女「・・・実は電車に乗るの、久しぶりなの」
男「あー・・いつも車か」
女「ええ・・・こういう車椅子用の広いスペースがあったのね」
男「最近は大体ついてるぞ。まあだいたい一車両に一か所とかだけど」
女「・・・ここ、座る席ないから、あなたは座席行っていいわよ」
男「いや、オレ立ってる方が楽だから」
女「・・・そう」
男「なあ」
女「何?」
男「水族館でよかったか?」
女「・・はい?」
男「あ、いや・・水族館嫌いじゃないか?」
女「あまり行ったこと無いから分からいわ」
男「そっか」
女「・・・でも、たのしみ」
男「ん」
『次は終点○○駅です。ご乗車ありがとうございました』
男「暑くないか?」
女「ええ、大丈夫。あなたこそ」
男「俺は平気だ。部活のが暑いし」
女「そう言えばそうね。あなたいつも疲れるとさっさと木陰入って休んでるものね」
男「ッチ・・なんか引っかかる言い方しやがって」
女「ふふ・・まあ暑くなったら、私の帽子貸してあげるから言いなさいよ」
男「お前な。そんなリボンのついた帽子なんかオレが被ったらへんな奴だろ」
女「なによ、この帽子お気に入りなのよ」
男「いや、お前には似合ってるよ。オレが被ったらおかしいだろって話だ」
女「え・・・・・うん」
男「ん?」
女「あ・・えっと、あの建物かしら?」
男「ああ、たぶんそうだと思う」
女「かなり人が多いわね」
男「やっぱり夏休みだからな。平日だけど混んでるな」
女「別にいいじゃない・・ゆっくり見ましょう」
男「そうだな」
男「あーーーー涼しい」
女「ふふ、そうね。空調が効いてるのもそうだけど、水槽に囲まれていると涼しく感じるわね」
男「ああ、それあるな」
女「それにしても、小学生くらいの子供たちが多いわね」
男「ああ、なんかグループに当たっちゃったみたいだな。まあでもイルカとアシカのショーとやらが始まったら空くだろ」
女「そうね」
男「それまで、あそこのフードコーナーでアイスでも食べようぜ」
女「うん。賛成」
男「はい、ミックスな」
女「ソフトクリーム代、出すわ」
男「いや、別にいいよ。面倒だし」
女「あなたにお礼する名目で来てるのよ」
男「ああ。だから、ここに来ただろ。それでいいし」
女「・・・もう」
『まもなく、イルカさん、アシカさんのショーが始まります!』
男「お、やっぱり空いてきたな。行こうぜ」
女「うん」
**
男「なあ」
女「なに?」
男「ここに泳いでる魚、うまそうじゃないか?」
女「・・確かに食卓にのぼる魚だけど、その感想はどうかと思うわ」
男「はは・・そうか」
女「でも、サメも居るわよね。食べられたりしないのかしら」
男「えっと・・プランクトンを食べるサメなんだとさ」
女「そうなの」
男「あ、あっちはクラゲの水槽みたいだぞ」
女「クラゲだけ?」
男「ああ、ほら、見ようぜ」
からから
女「うん・・・あら・・これは綺麗ね」
男「すごい色んな種類のクラゲがいるな」
女「そうね。なんか神秘的だわ」